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世の中 「負けたほうが良い」 という場合もあります

週末恒例の 「秀逸なるコラム」。
久々に尊敬する 宋文洲さんのコラムをご紹介します。
題して 「負けたほうがいい」。
宋さんは、このコラムの寄稿と合わせて、最近の国連総会でのゆっきーの演説に大変感慨を覚えたそうです。
合わせてご紹介致します。

鳩山総理が国連で行なった演説を拝見しました。
正直言って感動しました。
日本に長く居た人間として、初めて日本外交を誇りに思えました。
理想論者と言われるかもしれませんが、理想はつまり夢です。
世界の夢を率先して語る日本外交は初めてだと思います。
本当の力は人々の心を動かす力です。




同期より少しでも早く昇進しようと、あれこれ上司に媚を売るサラリーマン達。
子供が塾や学校などで近所に負けないために、懸命に頑張る母親達。
少しでも他人を出し抜こうと、頻繁に車線を変更するドライバー達。
毎日、ほとんどの人々は知らないうちに他人との勝負に参加しています。

しかし、社長まで昇進できた人は同級生の中ではただ一人、しかも実力でもなく努力でもなく運が決め手。
塾や学校で負けなかったが、子供は親と同様に人生の意味に気付かない。
何台も追い抜いたドライバーは、結局同じところで信号を待っている・・・・・・。

決して「成功者」への嫉妬ではないのですが、勝負に執着する人の多くは、勝っても負けても人生が負けてしまうのです。
株式投資を見れば分かるのですが、必ず株が上がる時に市場に資金がどんどん集まり、下がる時に市場から資金が一気に逃げ出します。

長年他人のお金を預かって運用してきたファンドマネージャーの友人が、私に密かに言いました。
「宋さん、株は儲からないようになっているよ」と。
少しでも他人に勝とうと「機敏」に売買したところで、ほとんどの投資家が損してしまうのです。

「勝ちたい」、「他人に遅れるまい」。そんな勝負の心が、残念ながらどんな人間にも本能として潜んでいます。
しかも目の前にある相当くだらないことでむきになり、自分が見えなくなるのです。
その先に何があるか、何のためにこんな勝負に参加しているかはまったく考えないのです。

なぜ走るか、走る人がいるからだ。なぜ行列に並ぶか、並ぶ人がいるからです。
なぜ良い学校に入りたいか、できる人が皆良い学校にいくからです。
残念ながら、この程度の理由で多くの人は人生を浪費してしまうのです。

趣味に没頭する時間、家族と一緒に居る時間。
そんな刺激のない静かな時間に幸せを感じられるようになれば、人は本当に幸せだと思います。
我々人間がなかなか幸せになれないのは、些細なことで他人と比較し、勝負する癖があるからです。

無意味な勝負に人生を浪費している間に、公園ではきれいな花が咲き乱れ、海では真っ赤な夕日が海面に落ち、家では巣立ち前の子供が親の帰りを待っているのです。
この瞬間にも多くの幸せが我々を待ち侘び、それを掴まないと二度と我々に属さないのです。
我々には他人との勝負に参加する暇はないのです。

幸せの尺度は幸せに生きる時間の多さです。勝負に勝ったとしてもその幸せは一瞬ですが、一輪の蒲公英のように静かに春を楽しみ、自然に風に自分を託す生き方こそ最後の一瞬まで幸せなのです。

私が嫌いな日本語に「勝ち組」と「負け組」 (筆者注:子鼠・タケナカの造語です) があります。
人生は自分に属す幸せを自分の心で感じ取る過程であり、決して他人との勝負ではないと切に思う
からです。

経営とコンサルティングを通じて多くの方々と出会ってきましたが、仕事ができる人も幸せになる人も、決して勝負にこだわる人ではなく、むしろ自らうまく負けている人なのです。




宋さんと "一杯" やりたい、と思い、コンタクトを取ろうとしたのですが、
ご本人は既にご家族と中国に "移住" してしまったそうです。
この人は "大人" ですよ (笑)。
年に1-2回は "来日" するそうですので、機会があったら、お目にかかってお話してみてください。

「気弱な地上げ屋」 も自らうまく負けている人を目指そうと思います。

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